人生詰んでも酒を飲む

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Alessandro MS1000(ヘッドホン改造)

キーワード:ヘッドホン、オーディオ、Alessandro MS1、Grado、塩ビ管、DIY

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改造後のヘッドフォン(通称Alessandro MS1000)

 こんにちは。ヘッドホンを改造してみて、数日聴いてみたので、記事を書きます。改造したのは、GradoのOEMで音屋で比較的安価に入手できるAlessandro MS1です。

 こちらは、ずいぶん前に購入して、標準パッドで使っていましたが、パッドがヘタって来ていました。そこで、パッドを交換することにしました。標準品を購入するのも面白みがないので、Gradoの上位機種であるGS1000やPS1000のパッド(通称ジャンボパッド)を購入しました。といっても、純正では1万円近いパッド(通称超高級スポンジ)で、僕はそんなにリッチではありません。仕方がないので、純正の10分の1の互換品を選びました。

 ジャンボパッドを装着してみると、これまでより装着感が上がり、音場が広がった感じがします。一方で、高音が強くて耳が痛い感じがしました。どうやら、Head-Fiなど、海外フォーラムを見ても、中音域が低下した、ひどい音になるという評判のようです。

 

Alessandro MS1000に行き着く

 Alessandro MS1とジャンボパッドで優れた音を作る改造方法が考案されていました。それが、通称Alessandro MS1000と呼ばれるものです。以下のリンクに詳細が載っていますが、要約するとドライバーの音出口に14mm程度のエクステンダーを接着して、そこにジャンボパッドをつけるという方法です。

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エクステンダーの寸法(https://www.head-fi.org/threads/alessandro-ms1000-and-ms-ultimate-diy-modding-56k-warning.323271/ より)

 

改造の実際

 木工をするには旋盤が必要です。3Dプリント版は送料を考慮すると、高くついてしまいます。そこで、これらの方法は諦めて、簡単に制作する方法を考えました。

 要するに内径40mmのペナペナじゃないパイプがあって、イヤーパッドをひっかける3~4mm巾くらいのフランジ(?)がついていればいいのです。これらの条件を満たす部材として、すぐ、塩ビ管(VP管)が思い付きました。塩ビ管は、スピーカーのエンクロージャーの材料としてもポピュラーで、入手性がよく、安いからです。おそらく、塩ビ管のジョイントなどの部材を探せば、先述の条件を満たすものがあるのではないかと、ホームセンターに向かいました。そして……

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 丁度いいのがありました。掃除口と呼ばれる部品で、一つ150円程度です。キャップがついていますが、ねじで外せます。

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 パッドもきれいにつきました。後は、こいつを鋸で適当な長さに切って切断面にやすりをかけて、側面に3箇所穴をあけてやれば完成です。フランジの下部分に12mm幅のマスキングテープを巻き、それをガイドに鋸で切ります。そして、切断したものを240番の耐水ペーパーに当て木したもので平面になるように研いでいきます。力が均等にかかるように、持つ方向を回転させながら作業するのがコツです。

 切断とやすり掛けが終わると、キリを使って、側面に穴をあけます。塩ビはやわらかい材料なので、簡単に穴があきます。削ったバリは適当にやすっておきます。それで、エクステンダーは完成です。後は、これを接着剤でヘッドホン本体に接着します。今回は、Gクリヤーを使いました。塩ビ管と本体の接合部がなんとなくみすぼらしいので、最後に自己溶着テープを貼って仕上げていきます。ブチルゴムなので、防振にもなるかもしれません(?)

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 ということで、完成です(写真が汚くてすみません)。自己融着テープの端部はジャンボパッドに覆い隠されるので、そこそこきれいに見えます。なにやらものものしい雰囲気になりました。

 

試聴、所感

 さて、試聴です。ソースはスタジオ録音のポップスから、コルトレーンなどのモダンジャズなど、普段聞くようなものを使っています。Zishan Z1からロスレス音源を出力して聞いてみます。

 最初に記した、高音域がうるさい問題は見事に解消されています。中音域に膨らみが出て、リッチな聞き心地です。また、低温の響きも心なしかよくなった気がします。ちなみに、MS1000では高音の調整方法として、エクステンダーにフェルトや布地をはることも提案されているので、音出口にメリヤス地を張ってみましたが、僕はないほうが好みだったので、外してしまいました(上の写真で出口に接着剤が残ってるのが見えちゃってますね汗)。

 そして、何より大きな変化は、音場が格段に広くなったことです。MS1というヘッドホンは、音場が狭くて、近くでなっているような元気な音で有名です。言い方を変えると、立体感がなくて、頭内定位してしまうヘッドホンでした。それが、解消されていて、浪々と響く音になっています。聴き疲れしにくくなっていると思います。これまでこのヘッドホンでは避けていたクラシックもいい感じに聞けますね。

 一方で、AlessandroやGradoの低価格帯は狭い音場で爽快になる音が人気のヘッドホンでもあります。今回の改造では、そうした要素はずいぶんスポイルされてしまったということもできるかもしれません。その辺は好みの問題もあるでしょうが、MS1000の音は、もともとが1万円ちょっとのヘッドフォンとは思えないものになったのは確かだと思います。